第2話を見て

テレビの力を見せつけた!という回だったように思います。

自閉症の人というのは、たくさんある情報の中から、重要な情報を選択するのが苦手だと言われています。
例えば、周りの音と人の声が同じように聞こえてしまうので人の呼びかけを聞き取りにくい、とか。
物が立体的に見えず書き割りみたいに見えるので、人の動きがつかみにくくて、急に触られると極端に驚く、とか。

また、注意の向けられる範囲が非常に狭く、特定のものに注視すると、それ以外の情報はおろそかになりがちだとも言われています。
例えば、車の車輪に注目していて、車にひかれそうになった、とか。
ピカピカ光るものに注目して、どこまでも登って行ってしまう、とか(「光とともに…」第1話と同じですね。あれはとてもありがちなことなのです)。

個人差はあるようですが、このような健常者との認知の違いは、やはり自閉症は脳の障害なのだなぁ、と思わされます。

光とともに…」第2話では、教室で光くん、お母さん、先生が、光くんの説明をするところ。親たちのざわめきの音がどんどん大きくなっていき、先生の話が聞き取りにくくなりました。光くんは耳を塞ぎ、教室から走り出してしまう。

自閉症の人たちは、多分普段からあのような聞こえ方をしているのでしょう。よく言われているのは、日常の音を録音してみて、それを再生して聞いてみると、自閉症の人たちの聞こえ方がよく分かる、というものです。ドラマのあの場面の雰囲気と、とても似た感じになります。
あれではうるさい。まだ子どもである光くんが逃げ出すのも無理のないところです。
私の息子・蜜柑も、聴覚過敏があります。ちょっと騒がしい所だと、よく耳を塞いでいます。私たちが「騒がしいなぁ」と思えるようなところだと、近付くこともできません。雑音を、相当にうるさく感じるようなのです。

また、少し前後しますがカメラマンに飛びかかるきっかけ、胸のスパンコールの国旗。カメラマンが写り、胸を指差し、国旗のアップ。きらきら光って。光くんはそれに向かって突進して行きます。
自閉症の人たちの、注意の向け方、そしてその注意の範囲の狭さがとてもよく表現されています。

このようなことは、どんな本でも、再現できないことです。テレビはすごい。映像と音と時間の経過を同時に表現することができます。これだけ見ても、「光とともに…」が映像化された価値は十分にある、と私は思いました。


あと印象に残ったのは、光くんを朝学校に行かせるために、篠原涼子が写真をいっぱい見せて、「がっこう、あさがおがっきゅう…」と連呼する所。声がでかすぎ、などという指摘もネットでは見られましたが、それはさておき。
最初のシーンでは、何回でしたっけ、結構何度も繰り返して、やっと光くんは学校に行く気になりました。後のシーンでは、一回だけで光くんは立ち上がります。

あれは、すごい成長です。見ていて、感動しました。自閉症の子に、指示を一回で通すことは、すごいことなんですよ。
まず、子どもの方に指示を見たり聞いたりするだけの心の準備がなければいけません。
この写真がでてくると学校へ行くというのを記憶したということでもあります。
また、写真でのコミュニケーションができるようになったという意味でもあります。写真と実物が同じであることを理解した、ということですね。

多分この後、光くんはあんなにいっぱいのカードを見せなくても、「がっこう」のカードを見ただけで学校に行こうとするようになるでしょう。
字が読めるようになって、字と物が結びつけば、「がっこう」の字を見せただけで。
時間の概念がつかめれば、時計を指差すだけでも。
音声指示に慣れれば、「がっこう」と言っただけで…。
(あくまで一般論で、これからの展開を予想するものではありませんので念のため)

また、写真でコミュニケーションが取れるようになったということは、別の場所へ誘うときも写真が使えるということです。また、物を指示するのにも、そして、人を指すのにも。
この力がついたことで、エンディングの場面へとつながって行く訳ですね。


後もう一つ、山口パパの台詞。「ぼくらはジュース以下だっていうんですか」

そうなんですよね……。認めるのは悲しいですが、そう言う時期が、確かにあります。いや、大きくなってからもかな……。
自閉症の子は、小さいときは、親のことを、欲求をかなえるための道具だと、見ているところがあります。というか、人と物の区別が付きにくいようなんです。うまく言えないですけど。だから、特に親に愛着をしめすことがない。

ドラマの表現をまねるなら、好きで好きでたまらない人は、自分のことをなんとも思ってない。ジュース以下の関心しかない。

これは、ほんとつらい。永遠の片思いです。よっぽど相手を好きでないと、やってられません。


でも、ドラマでやけに「大変だ大変だ」と言っていたのは、ちょっと、複雑……。私にとっては日常なので、「そっかー、私大変だったんだー」などと、他人事のように思ってしまいました(笑)。


次回は周囲への理解を深める話みたいですね。私もその途中にいるので、しっかり見て、参考にしたいと思っています。