七五三

ちょっと前、蜜柑の七五三をやった。男の子だから、5歳で。数え年でやるのがほんとなのかもしれないけれど、少しでも遅い方がきっとちゃんとできるだろうと言う理由で、去年は見送ったんだった。

はてなキーワードリンクでは、男の子は5歳のときだけお祝いするように書いてあるけれど、私の住んでいる辺りでは、3歳は男女共にお祝いをすることが多い。5歳は男の子だけ、7才は女の子だけというのが普通のようだ。
というわけで、蜜柑も七五三は2回目だ。前の時は、「七五三はこのようにやるものだ」という周りの声のまま、年寄りのいう通りにやったので、数えの3歳。正確には2歳のときだった。自閉症の診断がつくうんと前だ。初診もまだで、いいようのない不安を抱えた状態の私は、言うことなんかききやしない蜜柑におしゃれをさせた。でも窮屈な服がイヤな蜜柑は服をぐちゃぐちゃにしてしまい、なんかすごいへんてこなかっこうで御祈祷に臨んだ。
薄暗い神社の中、御祈祷が反響し、蜜柑は私の膝に顔を埋めて耳を塞いでいた。大泣きしなかったのだけが救いだった。御祈祷が終わって、蜜柑は巫女さんにお菓子をもらって、とてもうれしそうにしていた。多分あの時の蜜柑は、自分が祝われているのだとか、ちやほやされているとか、そんなことは全く判っていなかったに違いない。自分の手の中に大好きなお菓子がある。それが一番うれしかったのだろう。
写真館で写真を撮る段になって、蜜柑は大泣きした。写真館も薄暗い。変な機械がいっぱいある。お菓子も持っていてはいけないらしい。不安でたまらなくなったのだろう。無理もない。終わったら食べていいからね、とか、怖くないんだよ、とか、そういう言葉を理解する力は、そのときの蜜柑にはまだなかった。ものすごくものすごく泣いて、とても写真を撮るような顔ではなくなってしまったので、写真屋さんに謝って、一枚も撮らずに写真館をでた。
だから、蜜柑の一回目の七五三の記念写真は、存在しない。ちょっとしたスナップが何枚かあるだけだ。お祝いというよりは、むしろ少し悲しい思い出として、私の心の中にある。

だから、私はあまり今回の七五三には乗り気ではなかった。羽織袴を手配しようなんて気も全くなく、「入園式の時着たスーツでいいんじゃない?」と、たいした準備もしなかった。周りがやる気みたいだからしょーがないからやるか。所詮大人の自己満足なんだけどな。そんな感じだった。
でも、どうせやるからにはトラブルだけは避けたい、そう思った。私自身はイベントごとでがっかりするのに慣れているけれど、じじばばはそうではない。気合いを入れてやってくる。そこで、いくつかのポイントを押さえて、各所に予約を入れた。ポイントは次の通り。

(1)シーズンオフに行う。
(2)人気のない神社で行う。
(3)写真もピーク時をずらす。
(4)移動距離を短くする。
(5)食事は家でのんびりと食べる。

以上のことをふまえ、11月も下旬になってから、近くのちっちゃい神社(何度も遊びに行ったことのあるところ)でご祈祷をし、歩いていける距離の写真屋さん(写真の現像をいつも頼んでいるところ)で朝早く写真を撮り、近くの寿司屋の出前をとってのんびり食べる、という、ささやかな七五三祝いを行った。

で結果、大成功でした!(うれしい)

神主さんの動きが面白かったらしくてふざけて真似をしてしまったり、おじぎの順番を間違えたりはしたけれど、全く泣くこともなく、嫌がることもなく、むしろ楽しそうに全てをこなしてくれました。写真も最初ものすごく固い顔をしていたけれど、徐々にほぐれていい感じでした。まだ写真はできてきていないけれど、どんな顔で写っているにせよ、今回は記念写真を見ることができる。うれしいことです。

3年前と比べると、私も、どう段取りすれば蜜柑に混乱がないかというのが身についてきたのでしょう。また、蜜柑もすごく成長しているのだということがよく判りました。子どもの成長を祝う、という意味より、子どもの成長を実感した、そんなイベントだったなぁと思っています。やってよかったな。