第3話を見て

今回もいろいろと「そうそう!」頷きながら見ました。

いろいろネットでもドラマの感想見ましたけれども、多かったのが「あの医者無知過ぎ」「あんな医者いるのか!?」というご意見。
悲しいですけれどね、あれは、あり得ることなのですよ。というか、私も似たような経験したし。
以前、とある医者に、「この子自閉症で」と説明しました。まぁ不適切な扱いはされなかったんですけど、別れ際に「お母さんががんばれば自閉症は治るから、がんばって」って言われました。

こちとら、ポカーンですよ。

もちろん、子どもを見る専門のお医者さんではないんですけどね、産婦人科でしたから。割となんでも見てくれる人なんで、私の診察のついでに健康診断がてら見てもらったら、そんな具合。いやー、医者にも理解ない人いるってホントなんだなー、と思いましたとも。もちろん、その医者には2度と行ってません。
子どもをよく見ている病院のお医者さんでは、さすがに私はそういう経験はありません。でも、看護士さんは結構、無理解な人がいます。「予測がつかないのが苦手なんで」とか言ってるのに、いきなり声もかけず後ろから羽交い締めにしたり。お医者さんが診察しやすいようにしようとしてるんでしょうが、当然パニックになる訳で…。
眼科や耳鼻科や歯科など、子どもを見るのが専門でないお医者さんでは、私はもう判ってもらうことをあきらめています。一応説明はするけど。「自閉症なので絶対騒ぎますが、押さえつけてでもやってやってください」なんて感じで、最初に言ってます。ドラマと同じような状態ですね。でもあれはまだ2人で押さえられたから、うらやましいなぁ。蜜柑は、4人掛かりで押さえつけたりしますから。慣れたところや、慣れるだけの時間があれば、ゆっくり理解させてからやりますけども。緊急の場合や、そんなにたびたび行く場所でもない場合は、押さえつけちゃってますね。よくないんでしょうけど…。


あと、山口達也パパの「自閉症ですみません」発言ですね。自閉症だということで、謝る必要はない、ってメッセージにつながるわけですが……。
なっかなか、そうもいかないもんなんですよ、悲しいけど。

確かに、直接的に「自閉症ですみません」なんて謝ることはまずないんですけど。でも、謝ってばっかりだなぁ、私。
まぁ、私仕事でお客さまサポート係やってたことがあるんで、謝るのって全然苦にならないんですよ。だから心の負担はありません。だけど謝り慣れてない人はつらいかもなぁ、と思うことはよくあります。

例えば、さっきも例に出した、医者に行ったとしましょう。こっちとしてはもうどうしようもないから、押さえつけて処置してもらいたい。でも、「おとなしくして」が聞く子どもではありません。親一人では押さえつけられないので、看護士さんの力を借りることになりますね。一人では足りません、何人も加勢を呼ぶことになります。受付から来てもらったこともあります。検査技師さんにも。医院じゅう総動員です。子どももすごい力で抵抗しますから、押さえつける方も汗だくです。お医者さんを蹴っ飛ばしたりすることもある。

処置が終わりました。黙って、帰れますか?

私は大抵お礼を言って、お手数かけてすいません、等とぺこぺこぺこぺこ謝って、帰ります。また来なきゃならないかもしれないところですから、印象悪くして門前払いでも食わされたらこっちが困ります。謝るくらい、なんでもない。そんな風に思っています。

いつでもどこでも、他の子よりはどうしても手がかかってしまうので、ほんと謝りっぱなしです。実際に迷惑をかければ謝るのはもちろんなんですけど、トラブルを防ぐために「ご迷惑をかけるかもしれませんのですみません」と前もって謝っておくことがとても多いです。
でも、悪いことばかりじゃありません。前もって謝っておけば、相手も多少は気にかけてくれますから。気にかけていてもらえれば、子どもも、より安全ですし、トラブルにもなりにくいんじゃないかなあ、と思っています。

だけどほんとは、「自閉症なんです」と言うだけで、「すみません」を入れなくても理解してもらえる生活。憧れます。そんな世の中になるといいなぁ。


あとは、市川実日子ですか、「あの先生が見ていなかったから!」って、怒ってくれていた人もネットで見かけました。確かに、ホントに一時も目を離さないでいてくれればよかったんでしょうけれど。でもそれは、慣れていない人には酷な要求かも知れません。
普通、「子どもをみている」というのは、いたずらをしないように、とか、危険がないように、見ていることが多いですよね。普通の子どもは、大人がそこにいるだけで、危ないことはあまりしないと思います。いたずらをしようとしても、大抵音がするので、大人は気付いて静止できます。仮に外へ出ようとしても、気配なしに出ることはまずありません。大人を伺う様子を見せたり、スピード重視でばたばた出て行きますから、大人が気付かないということは、ほぼないんじゃないかしら。
でも自閉症の子は、気配を感じさせないで「す〜っ」と行ってしまうので、出て行ったことに気が付かないことが実によくあるんですよ。蜜柑もよくプチ失踪します。お友達も大抵1度や2度は迷子になっています。慣れている親でもそうなのですから、慣れていない彼女が光くんを見失うのは、無理もないことです。擁護するつもりはないですけどね。これから気をつけて下さい(笑)。

また、市川実日子を初め、里緒先生以外の先生が理解がなさ過ぎ、という意見も見かけました。でもこれも、「そうだろうな」という印象です。以前もちょっと書いたことがありますが、私、小学校の教員免許を持っています。障害についての単位は、一つも取っていません。必修じゃないんです。私はたまたま興味があったので多少勉強しましたが、それでも教科書上の知識で、自閉症の子にどう対応したらいいのかなんてことは、その頃は全然知りませんでした。先生たちに理解がないのは、無理もないことです。でも「特殊支援教育」というのが始まりますので、どんどん先生たちにも理解を深めて行っていただきたいと思っています。
多分これからドラマでも話題になっていくんじゃないかと思うんで詳しくは書きませんが、障害のある人が快適に過ごせる環境は、健常の人でも快適に過ごせる環境であると思うんです。


あとは、そうですね、私はパパの「これから一緒にがんばっていこう」発言。あれはほろりときました。障害が判った最初の頃って、どうしても母親が一人で立ち向かう形になりがちなんです。でも夫婦の両輪が揃うと、とてもいい形で家庭が回って行くようになると思うんですよ。お互いに余裕ができますから、子どもにいろいろな方法でアプローチできます。包帯を換えるアイデア、あれはパパの大勝利でした。見ていて、「よかったねぇ〜」と、泣けてきました。

問題に一つ一つ立ち向かって行って、それを解決したときの喜び。その積み重ねの毎日です。「大変ですけど、楽しいかもって思ってます」パパの発言に、大きく頷いた私と夫でした。