リベンジ! USJ

ちょっと前、家族3人でUSJに行った。

USJに行くのは2回目だ。前行ったのは、もう3年近くも前のことになる。蜜柑が自閉症との診断を受ける、前のことだ。そのときのことは、長らく私たち夫婦の間では禁句になっていた。家族3人全てにとって、相当にイヤな思い出だったからだ。
私たち夫婦はもともと映画が縁でくっついた仲で、だから二人とも、TDRよりはUSJの方に魅力を感じている。TDRは名古屋からはちょっと遠いがUSJは比較的近いということもあって、2歳の蜜柑を連れて喜び勇んでUSJに出かけた。
しかし。そのとき蜜柑は、ユニバーサルシティ駅の構内から、1時間以上も出ることができなかった。理由はいまだによく判らない。今本人に聞いても、語彙が少ないし、そもそも全く覚えていないらしく答えてくれないからだ。喧噪がイヤだったのかなぁ、と想像することしかできない。
どうやって駅から連れ出したかはもう覚えていない。むりやり担ぎ上げたのかもしれない。とにかくゲートに近付こうとするけれど、泣いて暴れてどうしようもなかった。でもチケットも買ってあったので、なんとかかんとかゲートをくぐり、昼時だったのでとにかく御飯を食べた。そのときはとりあえず、蜜柑は楽しそうにしていた。でも食事を終えて外に出ると、また泣く。子ども向けの場所に行けば大丈夫かもと思って、スヌーピーのアトラクションがある辺りまで行ったら少し泣きやんできて、走り回ったりしはじめた。雨降りだったのでレインコートを着せていたのだけれど、フードを取ってしまうのでかぶせると大泣き。なんとかなだめて、今度は噴水に突撃しようとするので大慌てで止めると、また大泣き。レストランでジュースを飲ませてなだめて、また噴水へ。止める。泣く。何度か繰り返して、泣いて泣いて文字どおり吐くまで泣いて、3人とも疲れ果て、そのまま帰った。そんな思い出だ。
USJに行ったことのある人なら、ほんっと入り口の辺りしか行っていないのがお判りだろう。USJの中に、一体何時間いただろう。2時間以下なのは間違いない。もう2度と来ないと、夫婦で誓ったものだった。

今にして思えば、とんでもなく非日常の空間に連れてこられて、訳判らんし、うるさいし、好きなこと(噴水に突入とか)はさせてもらえないし、そりゃ〜蜜柑もイヤだったろうなぁ、と思う。かわいそうなことをしたな、とも思う。でも、判らんかったですよ、そんときは。こんなに泣いている子は他には一人もおらんし、そもそもなんで泣いてるのかさえ判りゃしないときたもんだ。私もかなり煮詰まっていた頃だったので、この一件は、かなり後を引いた。蜜柑はより大きな音を怖がるようになり、私たちはこの後2年以上、蜜柑を遊園地に連れて行くことはなかった。


で、今回の話。なんで今回USJに行こうかと思ったかと言うと、蜜柑がセサミストリートにハマり出したから、です。クリスマスに、喋るエルモのぬいぐるみをもらい、何が気に入ったのか判らないけれど、家の中では風呂以外肌身離さず連れ歩き、毎週のテレビは欠かさない。そこまで好きなら、エルモを見に行こう。ということになった次第です。
以前の反省から、まず、どこへ行くかを1週間かけてじっくり説明。「新幹線に乗って、電車に乗って、ユニバーサルスタジオに行きます」「セサミストリートの映画を見ます」「うるさいけど大丈夫」「その後お買い物もします」「御飯も食べます」「新幹線に乗って帰ります」ホームページも見せて、イメージづくり。しまいには「ユニバーサルスタジオいく」と、誰彼構わず報告するようになりました(ちょっと困ったけど)。
一応、やっぱり入れないときのことを考えて、被害を最小限に食い止めるためにUSJの切符は買わず、新幹線の切符だけ金券ショップで買って、いざリベンジ。慎重にでかけました。
でも行ってみると何のことはなく。1時間かけても出られなかったユニバーサルシティ駅はスキップで通過。チケットの行列もおとなしく並んで。中に入って、BGMにちょっとだけ耳を塞いでいたけれど、それよりも楽しさが上回るらしく変わらずスキップ。セサミストリートのアトラクションも、1時間以上並んだけれど特に問題もなく。中で3Dメガネを掛けるのはイヤだったようで途中で外してしまったけれど、最後まで楽しそうに見て。T2のアトラクの前の広場でショップのお姉さんがラジコンを走らせていたのが気に入ったらしく、ラジコンをすごく楽しそうに飽きず追いかけ、通りがかった若い女性に「あの子サクラと違うん?」などと言われたりして。以前のあの姿が嘘のようで、心配したのがバカらしくなって、少しいじわるしたくなった私たち夫婦。「蜜柑、あんたこないだここですごく泣いたんだよ」「あんたここまでしか来られなかったんだよ」でも全く覚えていないようでした。それはそれで、よかったかなと思いました。イヤだったことは、忘れて欲しいものね。
かなり混んでいたので、アトラクションにはほとんど入れなかった(というか、入らなかった)けれど、とても楽しく過ごせました。何より蜜柑が、嫌がらずむしろ楽しんでくれたことだけで、もう充分。成長したなぁ蜜柑、と思いました。
「ユニバーサルスタジオ行った」と、帰ってきてからもよく言っています。いい思い出らしく、楽しそうです。よかったなぁ。

でも1つ、彼の中でひっかかっているらしいことがあります。大阪の街の中で、蜜柑は「冒険王ビィト」のカードダスをやろうとしたのですが、売り切れでカードが手に入らなかったのです。いまだにガチャガチャの機械を見る度に「冒険王ビィト、カードうりきれ。ざんねんでした」と言っています。うるさいので気が済むようにしてやりたくて、そのカードダスを探しているのですが、見つかりません。どなたか、名古屋近郊で、「冒険王ビィト」のカードダスがあるところ、ご存じありませんかねぇ(泣)?

3/1追記 自己解決しました(笑)。近くのショッピングセンターで、見つけました「冒険王ビィト」のカードダス。これでうるさく「うりきれ」「うりきれ」言われることもなくなるでしょう…。